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インフュージョンカーボン なる素材を活したこの車。
カーショップ カザマオートがドリフト競技用として開発したGR86で、見た目の精悍さ以上に大幅な軽量化を達成した事で話題となっていた。

ウェット、ドライ、コンポジット、プリプレグといったように、カーボン製品には製造工程や成形方法、織り方、構成の違いにより様々なものが存在するが、このインフュージョンカーボンもその一つ。

時間の関係で直接お話が聞けなかったが、後日、「あくまで推測ですが。。。」という前提で素材メーカーの方からレクチャーを頂いたので、以下に紹介する。

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インフュージョンカーボン とは?

インフュージョンとは真空引きという手法を使って製作するもので、まずメス型にカーボン繊維を積層し、そこへ樹脂を流し込む。
直後に真空ポンプを使ってそこから真空引きを行い、樹脂を隅々まで含侵、硬化させていく。
硬化したら、あとは型から外して成形すれば出来上がりとなる。

メリットはオス型もオートクレーブもいらないため、そのぶんコストが安くなること。
流し込む樹脂を選択できたり、その量も必要最小限に抑えられるという。

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一般的には大量生産向きと言われており、”設計変更が頻繁に発生する”、”でも量産数が少ない”、という分野では採用事例が少ないらしい。

例えば、モータースポーツを戦うレーシングカーの部品なんかがそう。

となるとドリフト競技もでは?と思ってしまったが、こちらは短い時間内でのクラッシュ率が高めであり、頻繁な交換が発生しやすい事、同一車種の参加が多い事があるため、他のカテゴリーとは事情が違うのかもしれない。

※参考文献
東レ・カーボンマジック(株)
(株)SCT

【取材・文】
編者(ものシンク
【取材協力】
東京オートサロン事務局
SNSで情報を下さったコンポジットエンジニア、学生フォーミュラの方々