マーズ・ローバー とは火星探査車の呼び名で、火星表面を走行しながら、地表の映像や気候、地面や大気の成分といった情報を収集し、地球へ送信する役目を持つ。
そんなマーズ・ローバーの製作を競う、ロボット工学コンテスト世界大会「University Rover Challenge (URC)」がアメリカのユタ州で開催されるが、そこへ日本の大学生チーム「ARES Project」が初めて参加した。
マーズ・ローバー 制作チーム「ARES Project」とは?
慶応義塾大学、東北大学の学生有志達による合同チームで、その発足は2022年2月。
リーダーの”阿依 ダニシ”さん、”長岡 佳汰”さん、”永原 陵司”さんの指揮の元、車体の設計、製作を担当する「東北支部」、車体に装備するロボットアームの設計、製作を担当する「東京支部」とに分かれて活動している。
今回のSPEXA 2024の出展ブースでは、4代目となるマーズ・ローバー「ARES 4」の展示や、現在実施中のクラウドファンディング、大会についてのPRを行っていた。
チーム発足当初はメンバーも予算も少なく、企業からの支援もごく僅か。
技術面をはじめ、遠隔地を繋ぐリモート会議やメンバー間のコミュニケーション、モチベーション維持など様々な問題に悩まされたというが、仲間達と協力しながら困難を乗り越え、活動し続けた結果、今やメンバー数は30名超。
多くの企業からの支援を受けるまでになっている。





ところで宇宙産業が隆盛を見せつつある中、自動車業界からも、部品製造を営むいくつかの企業が参入している。
話題の小型月着陸実証機「SLIM」もそうした実績の一つであり、他にもトヨタとJAXAが共同開発する月面探査車「ルナ・クルーザー」や、ブリジストンが開発する探査車用のタイヤ開発があげられる。
そして今回のUniversity Rover Challenge (URC)大会には日産自動車がスポンサーを務めており、こうした動きを見ても、自動車業界の宇宙産業に対する注目度が高いように感じられた。
今後、宇宙産業への参入を考えるなら、即戦力となる人材の育成、獲得が急務となるはず。
そういう意味でも、ARES Projectで活躍する学生達は逸材であり、貴重な存在と言える。
ぜひ注目頂きたい。
【取材・文】
編者(ものシンク)
【取材協力】
ARES Project
ABLab
SPEXA