
SUPER GT NISMO No. 23 car will have a young chief engineer from 2024.
日産ワークスエースカーの NISMO 23号車は、今年から体制を変更。
これまで監督とチーフエンジニアを兼任してきた 中島 健 氏が監督職に集中する事になり、空席となったチーフエンジニアには、開発車両で敏腕を振るってきた 若手の 小堀 顕 氏を大抜擢。
大変動の2024年シーズンを戦い続けてきた。
その経緯や若手を抜擢した理由は?
ここまでの評価はどうだったか?
ニスモフェスティバルにて、中島 監督にお話しを伺ってみた。

まずは略歴から紹介する。
1992年生まれの32歳。
学生時代の専攻は機械工学で、そこで学んだ事を検証したいと自動車研究会のサークルに所属。
当時からレーシングカーに関わる仕事を目標に掲げており、積極的に経験を積みながら活動範囲を広げていった。
そこから満を持してレース業界へ。
スーパー耐久を皮切りに、チーム・ルマンと B-MAX にて スーパーGT と全日本 F3 を経験。
データ&トラックエンジニアとして多くの実戦を戦ってきた。
その実績を買われて2022年12月に NISMO(NMC)に加入。
GT500 開発車両(230号車)のトラックエンジニアを経て、今年は 23号車というエースナンバーのチーフエンジニアに就任。
現在に至っている。
そんな小堀 氏を間近で見てきた中島監督。
彼にどんな事を感じてきただろう?

ものシンク 今年からチーフエンジニアが若手の小堀さんに変わりましたが、その経緯を教えて頂けますか?
中島監督 昨年まで私がチーフエンジニアを兼任していたのですが、正直手が回らなくなりつつありました。
そこで誰か適任がいないかと社内で検討した結果、昨年まで開発車両のエンジニアをしていた小堀君の名前が上がりました。
まだ一年目でいきなりレースエンジニアは厳しいかとも思いましたが、彼の動きを見ていて光るものを感じていたのと、私のサポートがあればやれるだろうと判断し、やらせてみる事にしました。
ものシンク これまでの仕事ぶりは100点満点中何点でしょうか?またその理由も教えて頂けますか?
中島監督 少々辛目ですが70点くらいでしょうか?
事前の持ち込みセットアップとその組み立ては問題なかったのですが、レース経験の足りない面がまだまだあります。
やはりどれだけ準備していても結果が全てなので、その点を踏まえてマイナスしました。
ものシンク 小堀さんの仕事でベストと思えるレースがあれば、理由も添えて教えて頂けますか?
中島監督 予選の良し悪しはドライバーとエンジニアの力によるものが大きいので、その結果が良かったレースですかね。
特に鈴鹿とオートポリスはよくやったと思います。
ものシンク これまでの小堀さんとの仕事の中で、何か面白いエピソードがあれば教えて頂けますか?
中島監督 うーん難しいですね。彼は特別とんがったキャラでもないので(苦笑)
ものシンク わかりました(笑)最後にレースエンジニアはどんな性格、どんなスキルを持つ方が向いているか教えて頂けますか?
中島監督 精神的に強い人が向いていると思います。
レースウィークでは短い時間で車のセットアップを決めなければならず、大きなプレッシャーにさらされます。
そのプレッシャーに負けて判断を誤る、もしくは時間をかけ過ぎて走れる時間が無くなるなんて事になると、それだけアドバンテージが減っていきますからね。

インタビューは以上となる。
さて、本記事を公開した直後に行われた最終戦では、千代勝正選手と2024年でGT引退のロニー・クインタレッリ選手が、これまでの不調を覆すような快走を見せてくれた。
そうして迎えた2025年。
今季の23号車はエースの千代勝正選手はそのままに、2022年の相方だった高星明誠選手が移籍してきた。
このペア、2022年は最終戦まで総合優勝の争いに加わっていただけに、ファンの間で期待が高まっている。
レースシーズンを経験した小堀 氏の手腕にも注目したい。
2025年の開幕戦は 4月12-13日。
岡山国際サーキットでスタートする。
チームの健闘を祈ろう。
【取材・文】
編者(ものシンク)
【取材協力】
NISMO
日産モータースポーツ&カスタマイズ(株)