キッズエンジニア 2025 – ものづくりに触れる夏④

キッズエンジニア とは、子供達に様々な仕事やものづくりを体験してもらうイベントで、毎年、名古屋と横浜でローテーション開催されている。
今回は名古屋の番だが、今年は新たに中部国際展示場(スカイエキスポ)での開催となった。
そんな新会場での様子を、本日より数回に渡ってお伝えする。

今回は4回目で最後。

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トヨタ自動車
空気の力ってすごい! 手作りの車で体験しよう!

子供達が粘土で形作った車を使って、なんと風洞実験の体験が行われた。
持ち込まれたのは、この日のために製作されたというミニ風洞実験装置。
計測できるのは抗力(ドラッグ)のみだが、形によって変化する数値に、子供達は興味深く眺めていた。
より少ない数値を目指し、数回往復して試行錯誤を続けた子供もいた様子。
ここから、未来のエイドリアン・ニューウェイが誕生するかもしれない。

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プログレス・テクノロジーズ
分解したラジコンを組み立ててレースしよう!

新品のラジコンカーを子供達自らが分解し、再び組み立ててレースをする体験が行われた。
用いられたのは最初から完成品として売られているもので、それを正確に組み立ててもらうため、社員さんの手による独自の組み立て説明書が用意された。
それだけでなくスタッフさんのアドバイスもあるため、子供達は安心して分解する事ができた。
恐らく子供達だけだと、元通りにするのは難しいはず。
なかなかない体験が出来たのではないだろうか。

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ヤマハ発動機
ウインドカーを作ってコースで走らせてみよう!

風の力で走るウインドカーの組み立てと走行、さらなるタイムアップへ試行錯誤する体験が行われた。
走らせるのは、電動ファンによる風が起きる特設コース。
一回目の走行結果から、スタッフと一緒にどうすればもっと速くなるかを考察。
用意された複数のプロペラやタイヤから様々な組み合わせを試しつつ、もっとも速いウインドカーを作り出していった。

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自動車技術会中部支部
風に向かって走れ!「ウインドカー組立・改良」

こちらも風の力で走るウインドカーの組み立てと走行、タイムアップへ試行錯誤する体験だが、ユニークなのはマシン作りと走行セッション。
こちらは風車の回転による力で走行するのだが、その風は団扇で仰いで発生させる必要がある。
クルマ単体の改良はもちろん、団扇の使い方にも工夫が必要で、子供達はあちこち動きまわっていた。

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三菱自動車
『空気のていこう』って何?クルマの模型を作って考えよう!!​”

走行中の車にかかる空気の抵抗について、実際に実験していきながら考えていく体験が行われた。
まずは基本的な座学を経て、実験対象となるペーパークラフトモデルを2台作成。
今回はフォードA型とトライトンが用意された。
その後、扇風機で風を当てながらコースを走らせていくが、スタッフ曰く、速いはずの車がなぜか遅いという状況が発生したりと若干のハプニングもあったようだ。

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愛知県常滑市
地元常滑市も地域紹介のブースを出展していた。
様々な特産、観光情報が展開されていたが、ちょうど赴いた時は餅つき体験が行われていた。
スカイエキスポ(中部国際展示場)でのイベント開催では、愛知県をはじめ常滑市も強力にバックアップされてて、盛り上がりに一役買っているという。

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ジヤトコブースより

— 総括 —
昨年に続いて2回目のキッズエンジニア取材だったが、楽しんでもらう事はもちろん、全体的に考えながら手を動かしてもらう事、試行錯誤してもらう事を重視したコンテンツが主だったように思う。
今やインターネットで調べたりAIに聞けば回答を教えてもらえる時代となったが、やはりものづくりの根幹は、自身で考えながら手を動かしていく事につきる。
多くの社会人も、今一度再認識するべきではと考えさせられた。

ところで、今回で17回目の開催となったキッズエンジニア。
ここ数年はコロナ対策の一環で事前予約制を取っていたため、参加人数はだいたい2,700~4,300ほど。
今年は当日参加も可となり参加の変動にも注目していたが、結果は4,097人と前回の名古屋開催時より若干の減少。
開催地の変更、子供が気になる他のビッグイベントと開催日時が被った事を考えたら、この数字はまずまずと言えるだろう。

そういえば、過去にキッズエンジニアを経験した子供の中には、名門大学を経て協賛企業に入社した子も出始めているという。
ものづくり社会に対して、良い循環が出来つつあるようだ。

【取材・文】
編者(ものシンク
【取材協力】
公益社団法人自動車技術会