
水素エンジン は、次世代モビリティの動力機関としてBEV、CNFと並んで開発が進められている。
その多くは新開発としてだが、(株)アネブルでは既存のガソリンエンジンをコンバートする仕様を提案。
人とくるまのテクノロジー展 2025では、その展示モデルが披露された。
水素もガソリンと同じく、爆発エネルギーを動力に変えていく。
水素の場合、最小着火エネルギーがガソリンと比べて十分の一と非常に着火しやすく、燃焼速度が5倍という特性を持つため、希薄燃焼(リーンバーン)に優れている。
反面、プレイグニッション(点火時期より早く着火する現象)による異常燃焼を起こしやすい。
既存のエンジンを水素仕様とするには、この現象を抑え、いかにして制御するかが鍵となる。

今回アネブルでは、一つの解として独自の「デュアルインジェクションシステム」を搭載してきた。
吸気ポート噴射用と筒内噴射用の2つのインジェクターを備えた構成となっており、これによる燃料噴射の緻密な制御を行う事で、高出力化とちょうどよいタイミングでの着火を促そうとしている。

開発が上手く進めば、実用性が高く現実的なプランとして注目を集めそうだ。
【取材・文】
編者(ものシンク)
【取材協力】
(株)アネブル
公益社団法人自動車技術会