
TAKEO KIKUCHI と言えば、日本の名ファッションデザイナー「菊池武夫」氏が手掛けるメンズファッションブランド。
そんなブランドがトヨタとトヨタ紡織と組み、ジャパンモビリティショー 2025 会場にて自動車用素材、加飾を使った新たなファッションアイテムを展開してきた。
今回の展示が実現した背景だが、昨年夏に開催された自動車業界のデザイナーが集うイベント” JAPAN AUTOMOTIVE INTERIOR DESIGNERS( JAID )”にて、TAKEO KIKUCHI を運営する(株)ワールドとコラボレーションしたのが始まり。
その後、TAKEO KIKUCHI サイドから自動車とファッションを組み合わせて何か出来ないかと トヨタ へ打診があり、それなら内装のほうが人間に寄り添えるだろうと トヨタ紡織 への誘いに繋がり、3社の合同企画としてスタートした。
まずは トヨタ と トヨタ紡織 の各担当者が TAKEO KIKUCHI を見学。
ディスカッションの際、強いインスピレーションを受けたと菊池 武夫 氏から様々なアイディアが提示され、その場でデザイン画まで起こされたという。
トワールチェックも行われたそうで、自動車で使われる様々な生地とその特性を紹介しつつ、人形(マネキン)やトワル(仮の服)にあてがいながらデザインを詰めていった。
さらにアイディアは膨らみ、今度はカバンも面白いのではとシートベルトやカーペット、ストラップの廃材を使い、お洒落なカバンも作りあげている。


自動車特有の生地特性はファッション業界には発想のものもあったようで、今回で言えば、”シルバーアント”という砂漠の蟻の体表構造を模擬して遮熱効果を高めた生地や、独自のキルティング、シートを裁断した際に発生するドリルカスがそれで、展示品を見ると綺麗に落とし込まれていた。
ただ加工には今までにない難しさもあったようで、例えばキルティング加工などは専用のミシンが必要になる事も。
そうした課題に対し、トヨタ紡織では自社のノウハウを生かして対応していった。
完成したのは展示の2着のみで、どれも一品もの。
まだ人に着せておらず、マネキンに合わせるのがやっとだったという。
今後はイベントでの反応と市場ニーズを見ながら、さらに研究を進めていくようだ。
【取材・文】
編者(ものシンク)
【取材協力】
ジャパンモビリティショー
トヨタ紡織(株)