「型崩れ」という妥協を過去にする。トーホー工業が示すロール製品保管の最適解

EPS(発砲スチロール)ロールホルダーパレットの紹介

フィルムやシート材などのロール状製品。その倉庫保管において、自重による下部の「型崩れ」や「潰れ」は、ある程度許容せざるを得ない「必要悪」として長らく扱われてきた。しかし、その常識を根底から覆すアプローチが存在する。今回は、発泡スチロールのパイオニアであるトーホー工業株式会社の「EPSロールホルダーパレット」がもたらす、保管品質の革新と経営的インパクトについて紐解く。

1.【製品概要】対象物にインフラを合わせる「専用設計」のパレット

トーホー工業が展開する「EPSロールホルダーパレット」は、EPS(発泡スチロール)の加工性を活かし、積載するロール製品の曲面に合わせて自在に形状をカスタマイズできる専用パレットである。

従来の平らな木製・樹脂製パレットでは、円筒形の製品を置いた際、パレットとの接点が「線」になり、そこに数百キロの自重が局所的に集中していた。これが変形や潰れの原因である。EPSロールホルダーパレットは、ロールの曲面にピタリと沿うよう成型されているため、接点が「面」へと変わり、荷重を均一に分散させる。対象物を優しく、かつ強固にホールドする理にかなった構造だ。

EPS(発砲スチロール)ロールホルダーパレットをトーホー工業では、様々なカスタマイズで対応するという

2.【注目ポイント】ものシンクな視点

今回の取材で最も注視すべきと感じたのは、自重で型崩れしてしまった下部数メートル分を、現場が「泣く泣く切り捨てて廃棄している」という実態だ。

これは製造工程のバグ(不良)ではなく、ただ「平らな場所に置いておくだけ」で発生する理不尽なロスである。あらゆる無駄を削ぎ落とし、持続可能性(サステナビリティ)が厳しく問われる現代のモノづくりにおいて、この「保管による確定的な廃棄」は経営的に看過してはならないサイレントキラーだ。

EPSロールホルダーパレットへのリプレイスは、対象物の形状に合わせてインフラ(パレット)側のアーキテクチャを適応させることで、この廃棄ロスを根本からゼロにする。これまで業界が「仕様がない」と諦めていた未解決問題に対し、技術とアイデアで真摯に応えてみせるアプローチ。これこそが、顧客の痛みを無視しない「日本ブランド」のモノづくりの真骨頂と言えるだろう。

3. 【経営・管理視点でのインパクト】2024年問題を見据えた物流の最適化

廃棄ロスの根絶だけがメリットではない。EPSという超軽量素材を用いることで、パレット自体の重量を劇的に軽くできる。これは積載時の総重量を抑え、燃費向上や積載効率のアップ、正式な労働環境の改善に直結する。

物流業界の「2024年問題」が深刻化する中、荷役作業の効率化と労働環境の改善は急務だ。長年、倉庫の隅で静かに利益と環境資源を削り取っていた「型崩れ」という妥協をなくしつつ、物流システム全体の最適化に寄与するこのパレットは、次世代のサプライチェーン構築において強力な武器となるはずだ。


【取材・文・撮影】
ものシンク編集部
現役ITエンジニアの視点から、日本の「ものづくり」と「インフラ」の最前線を独自の切り口で紐解くWebメディア。

【取材協力・関連リンク】
トーホー工業(株)
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