
風洞実験 については近年、身近なフルスケール風洞の利用や CFD 上で行うバーチャル試験などといったサービス、手法が生まれている。
しかし、それでも実走による再現性を検証したい場合はどうする?
その選択肢の一つとして、イギリスのケイツビートンネルをお勧めしたい。
ケイツビートンネルとは?
これは、廃棄された鉄道用トンネルを改装した施設で、全長約2.7km、最大幅8.2m、路面幅6mサイズのトンネルの中を実際に走らせながら、空力試験を行えるようになっている。
運営はエアロダイナミクスや流体力学による開発、解析、コンサルティングが専門のTotal Simのグループ会社で、これまでにレーシングチームやスーパーカー、ロードレース用自転車などの試験実績がある。

利用した方々からは、環境の素晴らしさと計測数値の高い再現性を評価しており、現在も世界中から大きな期待が寄せられている。
開所後しばらくは前述のプレ利用や環境の準備、構築に時間が割かれていたが、それもようやく完了。
今回の人とくるまのテクノロジー展2024では紹介ブースを設け、国内外での利用を促すロビー活動が展開されていた。
風洞実験 を日本からイギリスへ
さて日本からの利用となると、車両の輸送やスタッフの移動にかかる費用がネックとなるだろう。
現地近くに拠点を持つ日本企業の利用がベターだろうが、ブースを訪れた企業のいくつかからは、施設利用そのものにかかるコストはコスパが良いという声も聞かれた。
であるならば、例えば一社のみで現地に行くのではなく、複数の企業、団体が合同で利用する手段で費用を抑えられないものか?
輸送コンテナにかかる費用を抑えるだけでも、現実味を帯びてくるように思うが。
【取材・文】
編者(ものシンク)
【取材協力】
株式会社トータルシムジャパン
公益社団法人自動車技術会