
トラッキングシステム とは移動物体の追跡、分析、記録等を行う技術の総称だが、 JRA 日本中央競馬会ではその技術を使い、競馬レースに新たな楽しみを提供し続けている。
それが「競馬トラッキングシステム」で、MEEQ SIM を用いた独自のネットワークシステムが使われている。
いわゆる、レース中の競走馬の位置、順位を画面上にリアルタイム表示しようというもので、その実現のため、出走馬のゼッケンにセンサーを設置。
そこから位置情報を取得してサーバーで収集、処理し、逐次 画面に反映していく仕組みとなっている。
リアルタイムを高い精度で実現するため、ネットワークはインターネットを経由しない閉域回線で構成。
センサーは1頭あたり2つ設置されているが、これは、トラフィック増加時の通信安定性が考慮されている。

さらに複数キャリアのSIMを搭載。
これも通信安定性を重視したうえでの仕様だが、それを実現すべく採用されたのが MEEQ SIM 。
閉域網かつ、同一ネットワーク内で複数キャリアのSIM利用という条件下で、コストパフォーマンスが非常に高いと評価されたという。
キャリア自体も自由に選択できるため、競走馬場に合わせて最適なキャリア選択が出来る点も高評価に繋がったそうだ。
そのパフォーマンスは、JRA公式チャンネルのレース映像で確認して頂きたい。
このトラッキングシステムだが、もちろん競馬以外でも使える。
例えば陸上競技やスピードスケート、自動車やボートといったレース競技など。
センサー自体、競走馬のパフォーマンスを阻害しないよう小型軽量に設計されているため、他の動物を使ったレースにも使えそうだ。
既にいくつかの競技にて競合システムが使われているが、閉域網やキャリア選択の自由度、通信安定性、コスト面で検討の余地は十分あるように思う。
【取材・文】
編者(ものシンク)