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Motorcycle that supplies electricity come to the rescue.

これは給電バイクで、様々な自動車部品を製造するTPR(株)人とくるまのテクノロジー展 2024 NAGOYA に展示してきたモデル。

その名の通り給電機構を備えている。
バイクならではの機動性を生かし、自動車では通行困難な場所に電欠の車がいた場合でも、迅速に駆け付けられる事をコンセプトに開発された。

これは若手社員達が企画したもので、BEV(バッテリーEV)の増加に伴い、電欠によるJAFロードサービスの出動件数が増えつつある事に着目。
例えば、BEVストップが要因となった渋滞。
バッテリー残量がゼロになってしまうと移動が困難になるため、一刻も早く充電して移動させる必要がある。
しかし渋滞の中ではレスキューやレッカー車の到着が遅れてしまうため、解消に時間がかかってしまう。
そこで、バイクによる移動型給電システムが発案された。

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ベースとなったのはホンダの CBR250RR。
まずは形にしてみようと制作が開始された。
用いられているものは、全て既製品で組み合わされている。

発電機に小型高効率モーターを搭載しており、発電の際は、クラッチでエンジンを駆動系から切り離してモーターと接続。
エンジンパワーでモーターを回すシステムとなっている。
モーターは三相 AC 出力で、ブリッジダイオードを用いて AC から DC へ変換。
電子スロットルに介入して DC 300Vから600Vの間で出力調整を行いつつ、パワーコンディショナーにより商用電源の交流 200Vとなる。

搭載の充電器では通常4.95kW 、最大でも6kWが出力される仕様となっているが、これは日産リーフ クラスに対し、10分から20分程度の充電で5km以上走行可能とさせる計算からきている。
この仕様は、充電スポットの増加で5km圏内でも見つけやすい事、高速道路でも非常駐車帯が750m間隔で設置されており、少ない充電量でも最低限、通行障害にならない場所へ移動させられるだろうという考えから決められた。
さらに、10 kW 未満だと電気事業法に定められた届け出が不要というメリットもあるため、それによる柔軟な運用が可能となってくる。

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最後にバイクの仕様をまとめておく。

排気量:250 cc
エンジン最大出力:30 kW
燃料タンク:14 L
WMTC 燃費:27.1 km/L
発電燃費(推定値):3.3 kWh/L
追加ユニットの重量:約60 kg ※純正モデルの車両重量は約168 kg

工場内で実走行は行ったものの、追加ユニット込みでの重量バランスや転倒、交通事故を想定した検証など課題は多い。
ただ社内での反響は大きく、今も社員から様々なアイディアが出されている。
今回の展示でも来場者から多くの意見を集め、今後どのように発展させるか検討を進めていくようだ。

【取材・文】
編者(ものシンク
【取材協力】
TPR(株)
公益社団法人自動車技術会