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大阪大学 学生フォーミュラチーム “OFRAC” の昨年は、往年の強さを取り戻した1年だったと言える。
総合順位こそ8位だったものの、トラブルさえなければ総合優勝に絡めるほどのパフォーマンスを見せていた。
そうして迎えた2025年大会。
目標は3度目の総合優勝と、勝ちを明確にしてきた。

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今年のマシン。

昨年型より全長、ホイールベースが伸ばされたシャシーが目につく。
これはスキッドパッドなど、旋回からの立ち上がり時での安定性向上を意図したものとなっている。
モノコックフレームは全て組み直しで、ドライバーとエンジンをより近づけるよう設計。
それに合わせ、いくつかのパーツでは再設計も行われた。

前後重量バランスはリア寄り。
ジオメトリーも大きく見直されている。

タイヤは、コンパウンドが固めの Hoosier R20に変更。
直系は10インチながら、今年はフロントもリアと同じ幅となった。

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足回りには新機軸のアクティブダンパー。
これは減衰調整を電動で行う仕組みで、短時間のセッティング変更などで強みを発揮する。

エンジンはパワー、トルクとも昨年と大きな違いはないが、パワーバンドは若干高回転よりにシフト。
駆動系にはレーシングチェーン、トルセンデフも搭載された。

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静的審査(※カッコは2024年の順位)

  • プレゼンテーション:2位(4位)
  • デザイン:2位(6位)
  • コスト:9位(8位)

やはりデザイン審査とプレゼンテーション審査の躍進がトピックスだろう。
特にデザインでは、3年ぶりにデザインファイナルへ進出。
近年、海外勢のクオリティの高さに国内勢は苦戦を強いられていたが、同じくEVクラスで進出を果たした名古屋大学ともども果敢に挑んでいった。
結果は2位だったものの、1位とは僅か5点差と良い勝負を見せてくれた。

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動的審査(※カッコは2024年の順位)

  • アクセラレーション:5位(12位)
  • スキッドパッド:14位(27位)
  • オートクロス:3位(2位)
  • エンデュランス:7位(13位)
  • 効率:22位(9位)

意外にもドライバーからのマシン評価は思わしくなく、スピンなども重なった事によりタイムは他を圧倒するまでには至らず。
それでも、エンデュランス直前までは総合優勝を十分狙える位置につけており、チームでは最後の走行に向けたサスペンションセッティングに注力していた。

迎えた本番。
ファーストドライバーは好タイムで周回を重ねていたが終盤、突然の豪雨に見舞われてしまい万事休す。
総合優勝の目が絶たれてしまった。

それからは急遽レインタイヤにチェンジ。
セカンドドライバーに変わってからもそのまま走りきったが、なんとドライでの平均タイムより約4秒落ちという驚速ぶりを発揮。
有識者に対して、マシンの高いパフォーマンスを見せつける結果となった。

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総合:3位(8位)※カッコは2024年の順位

目標は達成できなかったものの、トップ3へ返り咲いた大阪大学チーム”OFRAC”。
もはや完全復活と言っていいかもしれない。

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プロジェクトリーダーの中田さん。ドライバーも担当した。

最後に、プロジェクトリーダーの中田さんのコメントを紹介する。
「一時は本当にマシンは仕上がるのかと不安に駆られていましたが、チームメンバー、特に後輩達がよく頑張ってくれました」
「オートクロスあたりからマシンはバランス良くなりまして、エンデュランスではいいペースで走れていたのですが雨が降ってしまい。。。
ちなみに雨のテストは出来ておらずぶっつけ本番だったのですが、走行中は全く不安なく、ペースダウンを最小限に留めながら走りきる事が出来ました。
いいマシンに仕上げてくれたチームメンバーに感謝したいです」
(ウェットでの驚速ぶりについて、ドライバーは雨のほうが速いのでは?という問いに対して)「多分そうだと思います(笑)。熱くなりやすいタイプなので、雨のおかげでいい感じにクールダウンできたようです。それで冷静になり、集中力が保たれたからこその結果と感じています」

【取材・文】
編者(ものシンク
【取材協力】
大阪大学 学生フォーミュラチーム
公益社団法人 自動車技術会