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日本大学理工学部 のマシンチェック。
円陣会”として学生フォーミュラ 初年度から参戦し続けてきた老舗で、コロナ過直後は不調だったものの、昨年はオートクロスやエンデュランスで速さを見せるなど復調の兆しが見えてきた。
そうして迎えた2度目の愛知スカイエキスポ。
今回のアプローチを見ていきたい。

今年の諸元を見ると、低く縦長になった印象を受ける。
興味深いのがホイールベースと前後トレッドで、2年前までショートホイールベースが増えつつある中、このマシンは30mmのロング傾向。
トレッド幅も10mm拡大されている。

エンジンは昨年に引き続きヤマハの YZF – R6 用だが、パワー、トルクとも大幅に向上しており、パワーバンドも上下ともに広くなっている。

また長年、同チームでは一般的なHパターンシフトを使ってきたが、今年はついにパドルシフト化を果たしてきた。

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興味深いのがタイヤ周り。

まずはタイヤ銘柄。
これまでの Hoosier から大会では コンチネンタル に変更されていたが、事前に配布されたガイドブックには、 SENTURY という中国のタイヤメーカーが記載されていた。
どういう事か?
元々チームではコンチネンタルを前提にマシンを設計してきたが、入手性等の問題から SENTURY をテストする事に。
ただその結果が思わしくなく、紆余曲折の末、やはりコンチネンタルでやろうとなったらしい。

次にタイヤサイズ。
これまで小数派の13インチタイヤを使い続けてきたが、昨年、轍を超えた際のタイヤの跳ねでインリフトが発生する問題があった。
その対策として重心を下げるべく、同じ13インチながら今年は低扁平のタイヤが採用された。
これにより10インチタイヤに近い外径となったが、実は次の大会からの10インチタイヤ移行が既に決まっており、足回りもその事を視野にいれた設計が盛り込まれている。
こうした背景から、今年は来季に向けたデータ取りも兼ねていたようだ。

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エンデュランス終了後、担当ドライバーから話を聞く事が出来たので紹介する。

ファーストドライバー:大石 さん
「事前に日本自動車研究所(JARI)等での試走会にて、エンデュランスのシミュレーションを行っていたのですが、本番ではそれよりもハイペースで走れました。
実は冷却系に少し不安を抱えていたのですが、今年は気温が低かったので、ウチにとってはラッキーでしたね。
思い切った攻めが出来ましたが、ただ途中、パイロンを何本か飛ばしてしまったのが悔やまれます」

セカンドドライバー:宮下さん
「静的審査や他の動的審査でのスコアが想定よりも低かったため、エンデュランスは頑張って走りきろうと臨みました。
ファーストドライバーの大石が他チームを追い越すなど速さを見せてくれたので、マシンに問題ない事は証明済みです。
ならばその頑張りに応えねばと、交代直後から全力でアタックし続けました。
途中、タイヤがピックアップを拾ってしまいグリップが落ちる等ありましたが、なんとかゴールまでマシンを運べてよかったです」

【取材・文】
編者(ものシンク
【取材協力】
日本大学理工学部 円陣会
公益社団法人 自動車技術会