
静岡大学 学生フォーミュラチーム”SUM”は、コロナ過明けの2022年にEVクラスに移行。
EV独特のマシン開発に苦戦を強いられ、2年前に初の動的審査に進出したものの途中リタイヤ、昨年は動力バッテリーのトラブルで車検落ちと試練が続いている。
迎えた2025年。
今年こそ初完走を果たすべく、新たなマシン「SE-125」で2年目の愛知スカイエキスポに乗り込んできた。


[静岡大学 のマシン概要]
今年は絶対完走を目標に、昨年型をベースにパッケージングの合理化をメインに開発された。
昨年型より一回り大きくなった外観。
特に全長と全高がかなり伸ばされている。
反面、ホイールベースと前後トレッドは変わらずで、恐らく変更されたエアロパッケージによる影響と思われる。
動力系は昨年とほとんど変わらずだが、昨年不調だった動力バッテリーは新型へ交換。
それにより電圧と容量が小さくなったものの、軽量化に貢献している。
その車両重量はついに250kg台へ。
リアヘビー傾向だった前後重量半分も適正化された。
その他、昨年と同じトラブルが出ないよう、得られたデータを元に全体を徹底的に見直されている。
より確実に、より堅実に。
今年こそ完走を果たしたいという、チームの思いが詰まったマシンに感じた。


[大会結果] ※EVクラス
静的審査(※カッコは2024年の順位)
- プレゼンテーション:14位(24位)
- デザイン:12位(27位)
- コスト:12位(69位)
動的審査(※カッコは2024年の順位)
- アクセラレーション:4位(-位)
- スキッドパッド:8位(-位)
- オートクロス:6位(-位)
- エンデュランス:5位(-位)
- 効率:7位(-位)
総合順位:6位(48位)
EVクラスに移行してから苦節3年。
ようやく初完走を果たした。
今年は早々にシェイクダウンを済ませ、テストマイレージを稼ぐ事が出来た。
その恩恵もあるのだろう。
最初から安定した走りを見せていた。

思っていたものと違うマシン挙動、フロントウイングの破損という問題が発生したが、それでも走行継続に支障はなく、メンバー全員で力を合わせて乗り越えたという。
昨年の車検落ち直後、動力バッテリーの変更予算が組めるのかと重い空気に包まれていたが、それだけに完走達成直後のチームでは、誰もが喜びを爆発させていた。
【取材・文】
編者(ものシンク)
【取材協力】
静岡大学 学生フォーミュラチーム
公益社団法人 自動車技術会