
Japan Mobility Show Bizweek 2026に出展された株式会社ICOMAの「セルフメイド」は、原付ミニカー(原付バイクの4輪版)区分の小型スポーツカーだ。
特筆すべきは、この車両が企業の新規事業としてではなく、一個人のDIYからスタートし、複数企業を巻き込んだ「小型スポーツカー共創プロジェクト」へと成長してきた点にある。
開発の起点は、ICOMAのチーフメカニックであり本プロジェクトを主宰する 豊永 大空 氏 が、YouTubeで原付ミニカーの自作動画を見たことだった。「自分でも作れるかもしれない」と趣味で製作を開始。それだけに飽き足らず、なんと当時いた会社を辞め、完成した車両で日本一周の旅に出てしまった。そして、その時の様子をSNSなどで発信していたところICOMAの目に留まり、事業へ参画。さらに昨年のジャパンモビリティショーへも出展し、他企業から多くの関心を集めることに成功。その結果、本格的な市販化へと結実した。


モノづくりの現場視点で見ると、原付ミニカーならではの開発ハードルは高い。原動機の出力が50cc相当に制限されるため、走行性能を担保するには徹底した「軽量化」が必須となる。また、極めてコンパクトなため各部品のクリアランスが狭く、サイズに合う市販部材が見つからない場合は自作しなければならないと、設計上の苦労を抱えている。
このような、個人の力だけでは限界がある量産化の壁を越え、「作品を製品へ」と昇華させるため、現在は強力なパートナー企業との協業体制を敷いている。商品企画やデザイン・設計はICOMAが担当。そして、事業化支援や部材の調達ルート・SCM構築を「萩原エレクトロニクス株式会社」が担い、量産に向けた工程設計や品質管理・在庫管理のノウハウを「株式会社名張ホールディングス」が提供するという、3社による強固な役割分担でプロジェクトが進められている。
今後は、EVを前提としたプロトタイプの製作を進める方針で、ターゲットは運転の楽しさを求めるユーザー向けとし、価格帯は「軽自動車のスポーツカーより安い価格」に出来ればと考えられている。そして2026年10月からは、開発の舞台裏がYouTubeやXを通じて、随時発信されるという。
個人のクリエイティビティといかに企業のアセットを掛け合わせるか、そのオープンイノベーションの実践的ヒントがここにある。
【取材・文・撮影】
ものシンク編集部
現役ITエンジニアの視点から、日本の「ものづくり」と「インフラ」の最前線を独自の切り口で紐解くWebメディア。
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(株)ICOMA
Japan Mobility Show Bizweek 2026