
金属接合の常識を覆す技術が存在する。株式会社LINK-US(リンクアス)が開発した「超音波複合振動接合技術」だ。熱による溶解や液相接合に頼らず、超音波の力だけで金属同士を強固に結合させるこのアプローチは、次世代の製造プロセスにおいて極めて大きなポテンシャルを秘めている。本稿では、その独自のメカニズムと、製造現場にもたらす具体的なメリットについて解説する。
熱を排除し、分子レベルで強固に繋ぐ「固相接合」
本技術の最大の価値は、金属を「一切溶かさずに接合する」という点にある。
従来の溶接は熱で金属を溶かして結合させるのが一般的だが、LINK-USの技術は超音波振動と圧力のみを利用する。溶解や液相接合のプロセスを完全に排除することで、熱による素材の変形や特性変化(劣化)を根本から防ぐことができる。これにより、これまで困難とされてきた異種金属同士の接合や、熱に弱い極薄の精密部品においても、素材本来の性質を維持したまま、分子レベルでの極めて強固で純度の高い接合が可能となる。
直線とねじりを掛け合わせた「複合振動軌跡」
この「熱をかけない強固な接合」を実現しているのが、LINK-US独自開発の「複合振動」メカニズムである。
従来の超音波接合は直線的な振動のみを用いていたが、同社は直線振動に「ねじり振動」を加える専用ホーンを開発。これにより、振動の軌跡が円形または楕円形を描くようになる。直線振動では動きの端部で必ず「折り返し」が発生し、そこで振動エネルギーの減衰やワーク(部品)への過度な物理的ダメージが生じていた。しかし、円・楕円軌跡の複合振動には折り返しが存在しない。結果としてエネルギーのロスが極めて少なく、接合方向による強度のばらつきも排除され、どの方向に対しても均一な結合を得ることができる。

低ダメージ・省エネによる歩留まりの劇的向上
この無駄のないアーキテクチャは、品質とコスト管理の両面で大きな経営的メリットをもたらす。
折り返しのない円滑な振動によりワーク端部へのダメージが最小限に抑えられ、接合部周辺への熱影響も回避できるため、製造プロセスにおける歩留まりが劇的に向上する。さらに、エネルギー伝達の効率が高いため、従来手法と比較して圧倒的な省エネでの接合が可能だ。
急速に需要が拡大しているEV(電気自動車)のバッテリー周りや、微細化が進む電子デバイスなど、極めてシビアな品質コントロールと環境配慮が要求される領域において、この「ダメージレスかつ確実な接合技術」は、次世代製品の競争力を決定づける強力なカードとなるだろう。